コロナが変えた働き方とオフィスのあり姿

新年明けましておめでとうございます。

 

2020年は、コロナに明け、コロナに暮れた大変な年となってしまいましたが、2021年はワクチン接種の広がりによって希望の光が見える年になることを願ってやみません。

 

そんな2021年は穏やかな年明けになるかと思いきや、首都ワシントンはいきなり衝撃的で歴史的な年始となりました。一方で新型コロナの猛威は全土で収まらず、また変異した感染力の強い新種のウイルスも感染例が出始め、アメリカ全土では累計感染者数は2,100万を超え、死者数は36万人以上になってしまいました。日本でも年末年始にかけて感染者が急増し、1月7日には、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県に2度目の緊急事態宣言が発令されました。2021年も新型コロナが経済や社会に暫く大きな影響を及ぼしそうです。

 

年末12月29日付のWall Street Journalは、一般の人々が広くオフィスに戻ってこられるのは、今春遅くか夏の初めになるだろうと報じています。その中で、ワクチン接種の普及によってアメリカ人の少なくとも65%にコロナの免疫が出来る頃にならないと一般の人々の職場への回帰は始まらないであろうと予想しています。春の終わりから初夏にかけて、人口の45%程度の人々がワクチン接種を終え、その頃には既に感染した人々が25%程度いるだろうという計算で、両者を合わせて感染とワクチン接種の重なった人の数を引くと65%程度の免疫率というものです。また、この記事の中で、優秀な働き手を採用・確保しようとするアメリカの優良企業の中には、従業員に働き方と働く場所の選択肢を与える”hub-and-spoke”戦略を取る企業が出てきていると紹介しています。これらの企業は、本社以外に都市部に複数のサテライトオフィスを設け、(1)従来の本社への出社、(2)家に近い新設のサテライトオフィスへの出社、(3)家からのテレワークのどれか、あるいは組み合わせを社員に選択させる自由を与えるとのことです。

 

更に新年1月4日付のNew York Timesは、ある調査によると、40%近い働き手は、従来の職場は仕事の生産性を高めていないと感じており、自分の生活の場と仕事の場を選んでも能力とスキルがあれば収入に影響はない環境になりつつあると報じています。実際大企業の中にはサテライトオフィスの有効性を試している企業もあり、GoogleやFacebookなどはこのコロナ禍で新しい賃貸契約を結びに来ているとのことです。また、コロナの影響を見極めるため、短期間の賃貸で小さめのオフィスを確保する企業も出ているようです。更に、長いテレワークによって普段着でリラックスした環境での仕事に慣れてきた人々に家の近くでそういう職場環境を提供するビジネスも出始め、Starbucksやホテルなどは、コーヒーショップやホテルのフロアーをオフィス仕様に変換することを試験的に始めたとのことです。

 

新型コロナによってオフィスや店舗を閉鎖せざるを得ない影響の一方で、社員の働き方の選択によって新たな職場の需要も出てきている傾向も見逃せません。