アメリカの郵便番号

先日、RealtyHopという不動産会社の調査による” The Most Expensive U.S. ZIP Codes in 2023“が発表されました。

なんと、上位100 ZIP Codeにはたった12州しかランクインしていません。カリフォルニアに61、ニューヨークに18と、大部分はこの2州が占めており、残りの21は、フロリダ、マサチューセッツ、コネチカットやニュージャージーで構成されています。

1位は4年連続、カリフォルニアのアサートンで、平均物件価格は7. 95ミリオンドル。アサートンはシリコンバレー近郊の緑豊かな街で、テクノロジーで財を築いた富豪や有名スポーツ選手たちが、プールやテニスコートの付いた大邸宅に住んでいます。平均家計所得は54万ドルとも言われています。

2位はカリフォルニアのビバリーヒルズ、そして3位はニューヨークのサガポナックと続きます。

ロサンゼルスは最も多くのExpensive ZIP Codeがある市で7つランクインしてます。次いでニューポートビーチが6つ、ニューヨークシティが5つとなっています。

 

このような調査の基準となるZIP Codeとは、日本でいうところの郵便番号ですが、その歴史は1963年に遡ります。

ZIP Codeが設定される以前の郵便サービスは、配達する人々の土地勘に頼って手渡しで行われていました。

そして1940年代以降、主要な街では区画ごとに1~2つの数字が割り当てられるようになりました。

その後1961年に、アメリカ合衆国郵便公社 (USPS)はNationwide Improved Mail Service (NIMS)制度を導入し、封筒のサイズやパッケージの形状を標準化し、郵便の効率化を図りました。

そしてついに1963年、郵便物の仕分けを高速化し、最終的には自動化できる手段としてZone Improvement Plan(ZIP) Codeが導入されたのです。

この制度により、それまで2桁だった地区番号が5桁になりました。 1 桁目は合衆国の州グループを、2、3 桁目はそのグループ内での区域(もしくは大都市)を、4、5 桁目はその区域内での配達先住所のグループを表し、よりスムーズに郵便物が配送されるようになったのです。

1983年には地域をさらに細分化するため、ZIP+4と呼ばれる拡張ZIP Code制度が誕生しました。ZIP+4は5 桁の配達区域内の住所地区を区別するため、基本の 5 桁のコードに 4 桁の数字を加えたものです。

 

 

郵便業界だけでなく、統計調査やマーケティングなど様々な領域で大きな役割を果たすZIP Codeですが、ニューヨークシティには独自のZIP Codeを持つビルディングが40以上あります。

ビル単体のZIP Codeは郵便物が多い場合や、ZIP+4では配達や顧客の要求が満たせない場合などに付与されます。

例えば、150以上ものビジネスが存在するエンパイアステイトビルディングには10118という独自のZIP Codeが付与されています。パークアベニューにそびえ立つメットライフビルディングや、毎年きらびやかなクリスマスツリーが設置されるロックフェラープラザなどもそれぞれのZIP Codeを所有しています。

個別のZIP Codeを持つビルディングのほとんどは高層ビルですが、サイズが決定要因ではありません。ニューヨークの最も高いビルディングであるワンワールドトレードセンターは、周囲と共通のZIP Codeを使用しています。

 

 

独自のZIP codeの中でも一番お洒落なのは靴好きニューヨーカーにとっての天国、Sacks Fifth Avenue の靴売り場です。

そのZIP Codeはなんと、 “10022-SHOE” !!!

これはSacks Fifth Avenueのマーケティング戦略の一環で、この靴売り場を、マンハッタンの街を行きかう人々の目的地にするために唯一のZIP Codeが必要だったとコメントしてます。

1つのフロアに独自のZIP Codeが使われることも、ZIP Codeに数字以外の文字が使われることも、このケースが初めてだったそうです。

今では10022-SHOEはShoe Loversのランドマークになっています。

クリスマスの装飾が始まった5番街、10022-SHOEでこれからのホリディシーズンに花を添える一足を選んでみるのはいかがでしょうか。