街全体がランウェイに!ニューヨーク・ファッションウィークの舞台たち

 

9月といえば、ニューヨークが最も華やかに輝くシーズンのひとつ。

世界的に注目されるニューヨーク・ファッションウィークが開催され、街中がファッションとカルチャーで盛り上がり、世界中からセレブリティやインフルエンサーが集まります。近年では日本からも俳優やタレントがショーに出席するたびに日本でもニュースとなり、SNSを賑わせていますよね。

まさに「街全体がランウェイ」と化す数日間です。

 

ファッションウィークの醍醐味のひとつは、ブランドが選ぶ会場。

ニューヨークの象徴的な建築や公共空間を舞台にしたショーは、服そのもの以上に強いメッセージを観客に残します。

過去の事例を振り返ると、それぞれのブランドがニューヨークらしい場所を選び、空間とテーマを見事に融合させてきたことが分かります。

 

 

Marc Jacobs × New York Public Library

ニューヨークを代表するブランド Marc Jacobs がたびたび会場に選んできたのが New York Public Library。

五番街にそびえるこの図書館は、ボザール様式を代表する歴史的建築であり、「知の殿堂」としてニューヨークの象徴的存在です。

大理石の階段や荘厳なリーディングルームは、クラシカルで重厚な雰囲気を放ちます。その知的で文化的な背景は、Marc Jacobs の持つ都会的で洗練された世界観と響き合い、ファッションを「文化的体験」として昇華させています。

 

Marc Jacobs FW25

 

 

Thom Browne × The Shed

ニューヨークの最新カルチャー拠点として注目を集める The Shed も、これまでに Thom Browne が何度もショーの舞台として選んできました。

The Shed はハドソンヤードに2019年に開館した文化施設で、可動式の外殻を備えた未来的な建築として有名です。しかし、それ以上に彼の演出に不可欠なのは、内部に広がる圧倒的なスケールの空間です。

この広大な内部空間は、Thom Browne の演出に合わせて自由に変貌します。コレクションのテーマに合わせてデザインされるセットの中で、観客はただ服を見るのではなく、無声演劇や舞台芸術のような世界観に包み込まれる体験を味わうことができます。

巨大な「箱」としての建築を背景に、ブランドの独創的なストーリーテリングがダイナミックに展開されるのです。

 

Thom Browne SS23

 

 

Moschino × Bryant Park(2021年SS22コレクション)

2021年の Moschino のショーは、ミッドタウンの緑あふれるオアシス Bryant Park が舞台でした。テーマは「Ladies Who Lunch」。

都会の真ん中で優雅にランチを楽しむ女性たちの姿をイメージしたコレクションに対して、公園という舞台は絶妙な選択でした。

芝生の広場にランウェイを設け、その背後には摩天楼のビル群とニューヨーク公共図書館のクラシカルな外観が広がります。都市の喧騒と自然の緑が同居する空間そのものが、コレクションの「都会的な日常と非日常の交差」を体現していました。

 

Moschino SS22

 

 

Anna Sui × Strand Book Store(2024年FWコレクション)

さらに、昨年 Anna Sui はニューヨークの老舗書店 Strand Book Store を舞台にショーを開催しました。

2024年秋冬コレクション「WHODUNNIT!!!」は、アガサ・クリスティやミス・マープル、ヴァージニア・ウルフ、クラリス・クリフといった文学・歴史上の人物にインスパイアされた、物語性あふれるコレクションです。

会場となった書店の本棚や書籍の並びがそのまま舞台装置となり、まるで物語の中に入り込むかのような演出が特徴的でした。

コレクションにはヴィンテージ調のドレスやフローラルプリント、スパンコール、アーストーンの色合いが登場し、Eveliina Vintage や Clio Peppiattとのコラボレーションも披露されました。

ファッションと文学の融合という新しい試みは、ニューヨーク・ファッションウィークの舞台選びの多様性を改めて示した瞬間でもありました。

 

Anna Sui FW24

 

 

Tommy Hilfiger × Grand Central Terminal Oyster Bar(2024年FWコレクション)

さらに、Tommy Hilfiger が2年ぶりにニューヨーク・ファッションウィークへ復帰した際、会場に選んだのは Grand Central Terminal にある有名な Oyster Bar。テーマ「A New York Moment」にぴったりのこの歴史ある空間は、ニューヨークらしい活気や移動する都市のエネルギーを象徴しています。

駅舎のアーチ型天井やクラシカルな装飾に囲まれたランウェイは、ブランドの都会的かつポップな世界観を引き立て、観客に街そのものを体感させる演出となりました。

 

Tommy Hilfiger FW24

 

 

 

このように、過去を振り返れば、Marc Jacobs、Thom Browne、Moschino、Anna Sui、Tommy Hilfiger といったブランドが、それぞれニューヨークらしい象徴的な場所を選び、さらに独自のセットや演出を重ねることで、コレクションテーマを最大限に表現してきました。

それぞれの会場は単なるランウェイではなく、ブランドの世界観や物語を体感できる特別な舞台となり、観客に忘れられない瞬間を提供しています。

 

では、来る 2025年9月のニューヨーク・ファッションウィークではどうでしょうか。どのブランドが、どの建築や都市空間を舞台に選び、どのような新しい舞台装置や演出で私たちを驚かせてくれるのか。

街全体がランウェイとなる数日間の熱気と、ブランドごとの独自性がどのように交差するのかを想像するだけでも、胸が高鳴ります。ファッションと建築、歴史と物語が交錯するその瞬間は、まさにニューヨーク・ファッションウィークならではの特別な体験です。

 

皆様も、ファッションと建築という新しい切り口でファッションウィークを楽しんでみてはいかがでしょうか。実際に会場となった場所を訪れ、歴史ある建築の空間やブランドの世界観に触れてみるのも面白いかもしれませんね。

 

 

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