連日満員のアンネ・フランク展
ニューヨークで今年1月に公開され、連日チケットが完売している展覧会をご存知ですか?
Center for Jewish Historyで行われている「Anne Frank The Exhibition」。
当初は4月末までの予定でしたが、10月末までの延長が決定するほどの人気を集めています。
今年はアウシュビッツ解放から80年という節目の年。現代の不安定な世界情勢の中で、この展覧会は私たちに「歴史の過ちを忘れてはならない」という強いメッセージを発信しています。
特に注目されているのが、アムステルダムにあるアンネ・フランクの家が実物大で再現された空間。当時アンネと家族がどのような生活を送っていたのか、その空気感まで体感することができます。さらに、普段はアムステルダムでしか見られない資料が100点以上展示されており、中には今回初公開となるものも含まれています。
このような展示を通じて、当時のドイツやヨーロッパがどのように変化し、ホロコーストへと至ったのか、そしてアンネたち家族の運命がどのように交錯していったのかを、まさに“イマーシブ”に追体験できる構成となっています。
再現されたアンネの部屋。壁にはハリウッドスターやアートの写真が貼られている。
これほど大規模なアンネ・フランク展はアメリカでは初めてとのこと。
ユニークだったのは、展示の節々でニューヨークやアメリカとの繋がりにも触れられていた点です。
例えば、アンネの父オットーは、有名デパートMacy’sの共同創業者の息子 ネイサン・ストラウス・ジュニアと友人関係にあり、若い頃に2年間ニューヨークでインターンをしていたそうです。当時彼と共に旅したトランクも展示されていました。
(オットーは英語も堪能で、後にBBCのインタビューに英語で答えている動画が残っています。気になる方は是非ご覧になってみてください。)
また、ナチス・ドイツのヨーロッパ侵攻により、多くのユダヤ人がアメリカへの亡命を試みました。オットーも先述の友人を頼って家族と共に亡命を目指しましたが、当時のビザの規制が非常に厳しかったこと、そして同じ境遇のユダヤ人難民が殺到したことで、叶いませんでした。
ニューヨークは歴史的にユダヤ系住民の多い街。展示を訪れる人々の中には、家族がホロコーストを逃れてアメリカに来たという方もいるかもしれません。そう思うと、この物語は決して遠い過去の話ではないと感じさせられました。
さらに、「アンネの日記」がブロードウェイでミュージカル化された際のポスターや衣装、1959年公開の映画『The Diary of Anne Frank』でシェリー・ウィンタースが受賞したオスカー像なども展示されており、アメリカにおけるアンネの足跡も展示されています。
(1997年に16歳のナタリー・ポートマンが主演したブロードウェイミュージカルのポスターも。96年生まれの筆者は「見たかった…」と、つい生まれた時代を恨んでしまいました。)
展示全体を通じて印象的だったのは、「アンネの心の内」だけでなく、彼女の父オットーの目線で「家族の物語」を辿る構成になっていたこと。
アンネが生まれる前の社会情勢、愛娘のかわいらしさ、家族の命に係わる不安、ホロコーストを生き延びて帰宅するまでの長い道のり、妻と2人の娘が亡くなったと知った時の絶望、そしてアンネの日記を読み感動し、世界にそのメッセージを広めるまでの葛藤や平和への願いがひしひしと伝わる展示でした。
来場者の年齢層も幅広く、年配の方から若い世代まで、多くの人が訪れていました。展示内容をより深く理解するための無料オーディオガイドも用意されており、多くの来場者がじっくり耳を傾けていました。
2025年10月30日まで開催されていますので、機会があれば是非足を運んでみてください。
出典:
https://www.annefrankexhibit.org/
https://www.fox5ny.com/news/anne-frank-exhibit-nyc
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