マンハッタンに眠る廃墟たち

10月になり、街の装飾はすっかりハロウィンムードです。

ということで今回は、マンハッタンに眠るちょっと不気味な廃墟たちをご紹介します。

 

どこに行っても人が多く賑やかなマンハッタンですが、意外にもその街中には、誰にも気づかれずひっそりと眠る廃墟が多く存在しているのです。

今回はその中から4か所ご紹介いたします。

 

 

  1. City Hall Station

現在もBrooklyn Bridge-City Hall Stationという駅がありますが、それとは別に、かつてCity Hall Stationという地下鉄駅がありました。

1904年にニューヨーク市庁舎前に開業したこのCity Hall Stationは、Rafael Guastavinoによって設計され、ホーム階のアーチ状の天井には天窓や色付きガラス、真鍮のシャンデリアなど豪華な装飾が施されています。

こちらの駅はニューヨーク初の地下鉄の南側の終着駅として、折り返しのためにループした線路上に建設されました。

そのため、ホームはカーブを描く形で配置されています。

 

 

この美しい駅は1945年まで使用されていましたが、より利便性の高いBrooklyn Bridge Stationが近くにあったことで利用者が減少したために閉鎖されることとなりました。

他にも、カーブしたホームの形状により電車との間に隙間ができてしまうなど安全性が低く、また、人口増加に合わせた長い編成の列車に対応できなかったことも閉鎖の要因となったようです。

しかしながら、こちらの駅は現在も取り壊されることはなく、6番系統の電車の折り返しに使用されています。

New York Transit Museum主催の会員向けの駅構内ツアーやYouTubeでも駅の様子が見られますので、ご興味のある方は調べてみてください。

 

参照:

https://www.columbia.edu/~brennan/abandoned/cityirt.html

https://www.nytransitmuseum.org/oldcityhall/

 

 

  1. 18th Street Station

同じく6番系統の18th St Stationも、1904年にニューヨーク初の地下鉄の駅として開業しましたが、両隣の14th St Station と23rd St Stationの拡張により、1948年に閉鎖されました。

 

 

 

こちらの駅も現在もそのまま残されており、6番系統の電車が通過しています。

車窓からも見ることができるので、ご興味のある方はチェックしてみてください。

YouTubeにも動画があるのですが、何とも不気味な雰囲気です…。

 

参照:

https://www.columbia.edu/~brennan/abandoned/18st.html

https://www.youtube.com/watch?v=ua3LJBiPzSk

 

 

  1. Loew’s Canal Theatre

レストランやバーが立ち並ぶロウアーイーストサイドのど真ん中に、忘れ去られた劇場があります。

こちらのLoew’s Canal Theatreは、映画の黄金時代、1927年に当時映画シアターの最大手であったLoewsの系列映画館として開業しました。

数多くの劇場を手掛けたThomas W. Lambによって設計され、2,341人を収容したこの劇場は、開業当時は市内で2番目に大きな映画シアターでした。

 

 

しかしながら、1950年代に閉業した後は、1960年-2000年代まで、劇場ロビーは小売りスペースとして、客席は倉庫として使われていたと言われています。

(贅沢な使い方!)

その後、2010年にこちらのファサードが歴史建造物としてニューヨーク市歴史建造物保存委員会により認定されました。

同年、Committee to Revitalize and Enrich the Arts and Tomorrow’s Economy (CREATE)という団体が、劇場をPerforming Arts Centerに改修しようと試み、実現可能性調査のためにニューヨーク市から$150,000の資金を受け取りましたが、結局実現には至らず、現在もそのままの形で残されているようです。

ファサードは現在もストリートから見ることができますが、私有地のため中に立ち入ることはできません。

劇場内の様子は下記サイトで見られますので、気になる方はどうぞ。

 

参照:

https://afterthefinalcurtain.net/2014/12/30/loews-canal-theatre/

 

 

  1. The New Yorker Hotelの地下トンネル

Penn StationにあるThe New Yorker Hotelの “NEW YORKER” という赤いサインは、ニューヨークに住む人なら誰しも見覚えがあるのではないでしょうか。

1930年に開業したこちらのホテルは、かつて自動車メーカー “Tesla” の社名の由来にもなった発明家のNicola Teslaが暮らし、生涯を終えた歴史ある場所です。

 

 

実はその地下には、見捨てられた秘密のトンネルが眠っています。

内壁にアールデコ調のタイルが施されたこのトンネルは、ホテルのロビーから34th Streetの地下を通り、Penn Stationとホテルを直接行き来できるゲスト用通路として使用されていました。

開業初期のホテルのパンフレットでは、Long Island Railroadと1932年に開業したばかりの地下鉄8th Ave線 (現在のA/C/E系統)へのアクセスの良さがアピールされています。

 

 

 

このトンネルは1960年代後半に封鎖されましたが、オンラインでは写真や動画を見ることができます。

また、当時のラグジュアリービルディングではこういった専用通路を設置することが流行っていたようで、Times SquareのKnickerbocker HotelやGrand Central StationのWaldorf Astoria、Lower ManhattanのWoolworth Buildingなどにもこうした秘密の通路があったとか…。

気になる方は調べてみてください。

 

参照:

https://untappedcities.com/2016/06/22/video-rediscovering-the-new-yorker-hotels-underground-tunnel-to-penn-station/

https://www.newyorkerhotel.com/history/

 

 

いかがでしたか?

他にもこうした廃墟は街中に眠っているようですので、調べてみるとニューヨークの新たな一面が見えてくるかもしれませんね。