ニューヨーク夏の風物詩
暑い日が続き、アイスクリームが美味しい季節になりました。
今月16日のNational Ice Cream Day には、無料でアイスクリームを配っているお店をいくつか見かけました。ニューヨークには数多くのアイスクリームショップがありますが、ニューヨークの夏の風物詩といえば街角に停車しているアイスクリームトラックではないでしょうか。
その歴史は1800年代手押し車での販売から始まり、多くの移民がこの仕事に就いていました。当時のアイスクリームはガラスのカップに入れて売られており、客が食べ終わったらカップを水で洗い流し、そのカップで次の客に販売するという仕組みで、衛生上、大きな懸念がありました。また、1800年代後半まで、アイスクリームに使用されたミルクは低温殺菌されておらず、病気の原因となるバクテリアが混在しているリスクもありました。溶けやすいものを衛生的に売るのはベンダーにとって、とてもチャレンジングな仕事でした。
そんな流れを変えたのが、1900年代のアイスクリームトラックの登場です。オハイオ州のキャンディーメーカー兼菓子の輸入業者であるHarry Burtが、持ち運び可能なアイスクリーム“Good Humor Bar”を開発、それを売るために12台のトラックを購入しビジネスを始めました。1930年代の不況の中でも、彼のアイスクリームビジネスは著しい成長を遂げました。トラックドライバーへの高額な給与が追い風となり、ニューヨークとシカゴで年間14億本ものアイスクリームバーを売り上げる規模にまでなりました。その後Good Humor は2000台以上のトラックを所有するまでに業務拡大し、このビジネスに参画する業者も増えてきました。
そんな歴史あるアイスクリームトラック業界にも様々な変化が見られます。2008年ニューヨークシティーで黄色いトラックから始まったVan Leeuwenは今や多くの店舗を構え、スーパーマーケットやオンラインでも購入できるまでに拡大するというアメリカンドリームを成し遂げました。
また2020年には日産がスコットランドのアイスクリームメーカー“Mackie’s”とのコラボによりZero-Emissionというアイスクリームバンを発売、時代に合わせたサステイナブルな変化も起きています。従来型トラックの多くは冷凍装置を稼働させるためにディーゼルエンジンを作動させており、停車販売中に有害な排気ガスを排出します。日産のバンはバッテリーを使用することにより、この問題を解決しています。日産は、再生可能エネルギーによる事業継続というこの試みを ‘Sky to Scoop Approach’と名付けており、今後この業界の救世主となるでしょう。
懐かしさと新しさが融合するアイスクリームトラック業界のさらなる進化が楽しみですね。