57丁目のスカイスクレイパーたち

マンハッタンと言えば摩天楼。「まてんろう」という響きも漢字の組み合わせも絶妙な言葉だと思いませんか? 摩天楼と和訳された元の言葉が「Skyscraper」、1880年代後半からアメリカの大都市に出現した高層ビルの〈天をこする〉ような姿からそう名付けられました。1885年、近代的構造原理に則った耐火性と採光に優れた高層事務所建築として「ホーム・インシュアランス・ビル」がシカゴに完成。この10階建てのビルがアメリカのスカイスクレーパー第1号と言われています。その後、1913年ニューヨークに55階建てのウールワースビルが、31年に102階建てのエンパイヤ・ステート・ビル、73年には110階建てのツインタワーが完成。摩天楼という言葉はNYの代名詞となりました。

 

時は流れて2021年。昨年のコロナによるロックダウンのため一時工事中断したものの、マンハッタンでは超高層ビルの建築が進んでいます。特に騒がしいのがミッドタウン57丁目界隈。6番街とブロードウェイの間500メートル足らずの距離に3棟の超高層ビルが建っています。

 

中央は2002年に完成した高級コンドミニアム「One 57」で高さ1,005フィート(306メートル)。その西側が現在建築中の高級コンドミニアム「Central Park Tower」、高さ1,550フィート(472メートル)で現在マーケットに出ている物件の最安値が$8,500,000(約92,100万円)、最高値が$65,500,000(約71億円!! 月々の管理費$10,843+タックス$20,094‼)。

 

そして一番東側で完成に向けて日々姿を変えているのが「57th Street Tower」。高さ1,428フィート(435メートル)、前述の「Central Park Tower」には高さで一歩引けを取っていますが、上層階に行くにつれ薄っぺらくなっていく独特なデザイン(上部が斜めに削られた割りばしのような形状)が目を引きます。

 

 

 

高層階の住人はエンパイヤやロックフェラーセンタービルの展望台より高い位置で毎日暮らすわけですね。ウェブサイトの上層階レンダリングを見ると、とんでもない高さの天井高と、一面ガラス窓から眺めるマンハッタンの風景に「うひゃー」と感嘆するしかありません。興味がある方は「57th Street Tower」のウェブサイトをご覧ください。 

 

 

その他にもグランドセントラル駅隣に1,401フィートのオフィスビル「One Vanderbilt」の建築が進むほか、5番街51丁目、セントパトリック大聖堂の真向かいに完成すれば「One World Trade Center」に次ぐNY2番目の高さになる1,550フィートのビル建築申請が認可されるなど、マンハッタンのスカイスクレイパーブームはまだまだ続きます。