築100年のアップルストア

 

ニューヨークの街歩きの楽しみの一つが、築100年を超える歴史的な建物が立ち並ぶ街並みですよね。

銀行や郵便局、高級アパートとして建てられた重厚な石造りのビルや工場や倉庫として使用されていたレンガ造りの建物など、エリアによって様々な種類の建築物が見られ、歴史を感じることができます。

 

 

時が流れ、建てられた当時の役目を終えた建物の中には、アパレルブランドや飲食チェーンの店舗などがテナントとして多く入るようになりました。その際には、こうしたLandmarkと呼ばれる建造物の建築的、歴史的、文化的価値を守るため、ニューヨーク市のLandmarks Preservation Commissionと呼ばれる団体の審査のもと、元の外観を保持するデザインが施されます。(内装がLandmarkとして指定されている場合は、内観を保持することが求められます。)

 

 

例えば、Apple SoHoは元は1920年代に郵便局として建てられたLandmarkです。

ブティックが立ち並ぶこのエリアで最後の郵便局として地元民に愛されましたが、2002年にAppleへ売却され、その後建物内の一部で稼働していた郵便窓口も2009年に閉鎖されました。

現在でも、当時の名残として外壁には”UNITED STATES POST OFFICE””STATION A”の文字が。

多くのAppleストアは壁面の大部分がガラス張りの近代的なイメージがありますが、こちらのニューヨーク1号店は窓枠の大きさや入り口も元の形を生かしたデザインとなっています。看板もお馴染みの大きなリンゴのマークではなく、窓枠の色に合わせた黒いサインが控えめにぶら下げられているのみです。

元の外観を極限まで生かしたシンプルなデザインでも存在感を示すことができるのは、天下のAppleだからこそかもしれませんね。

 

Apple SoHo Building

Google Map Street Viewより

 

https://archive.nytimes.com/cityroom.blogs.nytimes.com/2009/04/15/soho-residents-rally-to-save-their-post-office/

 

 

また、同じくSohoの築100年以上のビルにあるLacosteとGuessも窓やエントランスの位置は変えず、切文字のサインとロゴ入りのオーニング(軒先テント)で統一感のあるクラシカルな外観となっています。

通常のビルでは多くの場合、ドアの位置や素材、看板の場所なども自由に改修することができます。しかし、Landmarkにおいては入り口や窓の位置から素材まで保存することが求められます。そのため、テナント側は非常に限られた範囲の中でブランドをアピールする必要があるのです。それでも、歴史ある建物にテナントとして入ることは権威あることですし、場合によっては効果的なブランディングにもなります。

 

Soho Landmark Building

Google Map Street Viewより

 

 

日本でも歴史的な建造物は文化財保護法などで大切に保護されています。しかしながら、日本とニューヨークで圧倒的に異なるのはその数です。

Landmarks Preservation Commissionでは、市内のLandmark情報をまとめたマップを公開しています。(↓)

ピンクがLandmarkの建物、青がインテリアのLandmark、黄色はそのエリアごとLandmarkとして指定されていることを示しています。こうして見ると、特にマンハッタンはLandmarkだらけですね。

 

Landmark Building map

Discover New York City Landmarksより

 

 

日本からニューヨーク進出されるお客様からもLandmarkでの設計施工をご依頼いただくことがあります。日本企業として、ニューヨークらしい歴史ある建物に店舗やオフィスを出すことは夢がありますよね。

その際に多くの方が不安を抱かれるLandmarkならではの複雑な規定や申請なども、20年以上の豊富な経験から当社がしっかりサポートさせていただきます。お気軽にご相談ください。

 

 

 

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