まるでおとぎ話の世界!?ニューヨークにある小さなお城
ニューヨークといえば高くそびえたつ摩天楼をイメージする方も多いのではないでしょうか? そんなニューヨークにも、緑豊かな自然に囲まれた小さなお城があるのです。マンハッタンの59丁目から110丁目にわたって広がるセントラルパークのちょうど真ん中、タートルポンドの隣の小高い丘にひっそりと佇むのがベルベデーレ城です。大きなお城ではありませんが、タートルポンドから見あげると、なかなか迫力を感じます。お城の敷地に足を踏み入れると、ちょっとした広場やパビリオンがあり、お城をバックに写真を撮っている人をちらほら見かけます。中には小さなギフトショップがあり、その奥はお城の上の階へ昇る螺旋階段につながっています。
お城の一番上からは、セントラルパークの自然と周辺の歴史を感じる建物を同時に楽しむことができ、まさに絶景です。筆者は10月中旬に訪れたため、ところどころ紅葉していてとても綺麗でした。春には色とりどりの花、夏には新緑の青、冬には雪化粧をしたセントラルパークなど、四季折々の楽しみ方ができそうです。
さて、“the Belvedere”とはイタリア語で“beautiful view”という意味があります。その名の通り美しいベルベデーレ城ですが、なぜこんなお城がセントラルパークにあるのでしょうか。遡ること1872年、このエリアを活気づけようと思い立ったセントラルパークの共同デザイナーのCalvert Vauxと建築家のJacob Wrey Mouldによってデザインされ、ベルベデーレ城は完成しました。当初の目的は、まさに周辺の景色を楽しむためでしたが、月日を経るとともにその目的も変わっていきました。
1919年にはアメリカ気象局が元々は無かった窓やドアを付け加えて気象台へと変身させました。しかし、約40年後に気象局が出て行ったあとは荒廃状態となり、荒し行為の対象にまでなってしまいました。それからさらに20年ほど経った1983年、ようやくセントラルパークの保護団体が修繕工事を行い、ビジターセンターへと蘇らせたのです。2019年にはテラス部分をよりモダンなものへと改善し、現在の美しいベルベデーレ城が出来上がりました。
1960年代にはオフィスの場所を移したアメリカ気象局ですが、気温や風速、降雨量などはいまだベルベデーレ城のてっぺんで計測されているそうです。
美しいだけでなく、私たちの生活の役にも立っているベルベデーレ城、一度訪れてみてはいかがでしょうか。