ニューヨーク進出で知っておきたい、物件契約前に設計施工会社へ相談すべき理由

ニューヨークでオフィスや店舗、レストランなどの拠点を設立する際、物件の契約を決める前に設計施工会社へ相談することは、非常に重要なステップです。

日本では「まず物件を契約し、その後に工事計画を進める」という流れが一般的ですが、アメリカ、特にニューヨークではこの順序が原因で、大きなトラブルや想定外のコストが発生するケースが少なくありません。

物件契約前に設計施工会社へ相談しておくことで、施工可否や費用感、規制への対応可否などを事前に把握でき、契約後のリスクを大きく減らすことができます。

 

ニューヨーク進出

 

建物の制約を把握する

ニューヨークの建物は築年数が古いものが多く、外観は魅力的でも、構造や設備にさまざまな制約を抱えている場合があります。

特にオフィスや店舗、レストランとして使用する際には、電気容量、給排水、空調、排気、耐火構造など、多くの要素が設計・施工に影響します。契約前に設計施工会社が現地を確認すれば、「この物件では希望するレイアウトが成立しない」「設備容量が足りず、大規模な工事が必要になる」といった問題を早い段階で把握することができます。

こうした確認をせずに契約を進めてしまうと、後から設計変更や追加工事が発生し、スケジュールや予算に大きな影響を与えかねません。

 

TI(Tenant Improvement Allowance)の理解

物件改装の文脈でよく出てくるのが、TI(Tenant Improvement Allowance)です。

TIとは、オーナーがテナントのために支給する改装費用のことで、テナントはこの予算枠内で内装工事や設備工事を行うことができます。具体的には、床・壁・天井の仕上げや、電気・空調・給排水などの設備工事が含まれます。物件によってTIの範囲や条件は異なり、オーナー負担の枠を超える工事はテナント自身が負担する必要があります。

契約前に設計施工会社と相談しておくことで、TIの使い方や工事範囲を正しく把握し、予算計画やデザイン計画を現実的に立てることができます。

 

規制対応と古い建物の注意点

ニューヨーク特有の問題として、古い建物が非常に多いことや、建築・安全・バリアフリーに関する規制が頻繁に更新されることも挙げられます。

新しく工事を行う場合、建物自体は古くても「最新の規制」への対応を求められることがあり、工事費用やデザインに大きな影響を与えることがあります。

例えば、古い建物で店舗の入口が階段になっている場合、新たに改装工事を行うことで、車いす対応のスロープ設置が必要になることがあります。スロープ設置には入口周りのレイアウト変更や有効面積の減少が伴い、当初想定していたデザインや動線が成立しなくなることもあります。場合によっては、スロープ設置のための工事費用が想定を大きく超え、事業計画の見直しを迫られることもあります。

一方で、古い建物の場合には「Grandfather Clause(既存不適格の免除規定)」が適用され、新しい規制への対応が免除されるケースもあります。

ただし、免除が適用されるかどうかは建物の現状や工事内容によって判断されるため、専門的な知識と経験が必要です。物件契約前に設計施工会社に相談することで、どこまで規制対応が必要で、どの部分が免除されるのかを整理でき、不要な工事や過剰なコストを避けながら計画的に施工を進めることができます。

 

許認可やスケジュールの確認

物件契約前の相談は、許認可やスケジュール面でも大きな意味を持ちます。

ニューヨークでは建築許可(Permit)の取得や各種検査がプロジェクトの進行に直結し、想定以上に時間がかかることも少なくありません。事前に設計施工会社と相談して必要な許可の種類や取得期間を把握しておくことで、物件契約後のスケジュールをより現実的に組むことができます。

これはオープン時期や事業計画の策定に非常に重要なポイントです。

 

デザインの事前確認

早い段階から施工会社と関わることで、建物条件に合ったデザインやレイアウトを検討できます。

特にレストランや店舗では、厨房やバックヤードの配置、動線計画、設備スペースの確保などが構造や規制で左右されます。契約後に「理想のデザインが実現できない」と気づくのではなく、契約前に実現可能な範囲を把握しておくことで、無駄な設計変更や追加工事を防ぐことができます。

 

賃貸契約書の確認と交渉への活用

契約前に賃貸契約書を確認することは、非常に重要です。

専門家による現地調査を基に、今後必要となる設備工事の内容や特別に施工費が掛かりそうな部分を確認することで、テナント工事やTI、フリーレント(家賃免除期間)の交渉にも役立ちます。さらに、後々トラブルになりそうな問題を契約前に把握しておくことで、リスクを事前に回避できます。

契約条件や原状回復義務、許可取得の責任分担なども整理でき、安心して契約を進められるようになります。

 

 

このように、物件契約前に設計施工会社へ相談することは、単なる準備ではなく、事業成功のための重要なリスクマネジメントです。

施工可否、費用、TIの支給範囲、規制対応、工期、デザイン、契約条件といった要素を事前に整理しておくことで、契約後のトラブルや無駄なコスト、スケジュール遅延を最小限に抑えることができます。

ニューヨークでの拠点設立を成功させるためには、「物件を契約する前に専門家へ相談する」という一歩が、結果を大きく左右するのです。

 

弊社では、物件契約前の事前サービスとして、候補物件の現地調査やテストフィット(レイアウト案)の作成、賃貸契約書の確認を行っております。

物件選びや契約の段階で迷いや不安がある方も、専門家の目で事前にチェックすることで安心して計画を進められます。専門家の調査結果を基に、TIやフリーレントの交渉、追加工事の必要性を判断することも可能です。まずはお気軽にご相談ください。

 

 

 

◆ Newsletter一覧 ◆

 

◆ Topic一覧 ◆

 


 

 

YT designは、お客様のブランドやアイデンティティを建築空間に反映させ、より速くより良い方法でプロジェクトを遂行します。
レストラン・店舗の新規出店や、オフィスの移転・改修のご相談、お待ちしています!

 

こちらからお気軽にお問い合わせください。