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アメリカで新たにオフィスを開設したり、店舗を出店したりする際、多くの企業が最初に気になるのが「いったいいくらかかるのか?」という点ではないでしょうか。
日本国内での出店やオフィス移転の経験があっても、アメリカでは設計費や施工費の考え方、見積もりの仕組み、工事に関わる専門家の役割などが異なる場合があります。日本での経験をもとに予算を想定していると、見積もりが想像以上に高いと感じることも少なくありません。
今回は、ニューヨークを中心にアメリカで店舗やオフィスの設計・施工を進める際に知っておきたい、設計費と施工費の決まり方、そして予算計画で押さえておきたいポイントをご紹介します。
アメリカの設計費は、プロジェクトの規模や難易度、設計者の業務範囲などによって決まります。日本と同様に、設計費の算定方法は一律ではありませんが、主に次のような方式があります。
工事費の一定割合を設計費として算出する方法です。設計費が工事費の10〜12%程度が一般的とされていますが、実際の割合はプロジェクトの規模や用途、設計範囲によって大きく異なります。
工事費を基に契約前に設計料が確定するため、予算を管理しやすいのが特徴です。
特に日本企業の場合には予算管理が重要となるため、弊社では基本的にはこの方式を採用しております。
設計に必要な作業時間や担当者の人件費などをもとに算出する方法です。コンセプト設計、基本設計、実施設計、申請図面の作成、施工中の設計監理など、依頼する業務範囲によって費用が変わります。
一部の業務のみを依頼する場合や、業務範囲が確定していない場合には合理的な方式ですが、作業時間に応じて精算する契約では、最終金額が事前に確定しないため、予算管理に注意が必要です。
重要なのは、設計費の金額だけでなく、何が含まれているのかを確認することです。
例えば、内装のデザインやレイアウトの作成だけでなく、建築申請に必要な図面の作成、申請手続き、構造や空調・電気・給排水などの設備設計、施工中の設計監理や質疑対応まで含まれているかによって、見積もりの金額は変わります。
また、プロジェクトによっては、構造・MEPエンジニア(機械・電気・給排水設備の専門家)、コードコンサルタント(建築法規の専門家)、エクスペダイター(行政への申請手続きを支援する専門家)などが必要になります。これらの費用が設計費に含まれるのか、別途契約となるのかも確認しておきたいポイントです。
アメリカの施工契約では、主に一括契約(Lump Sum)やCost Plus Fee契約などの方式が採用されます。
あらかじめ定めた工事範囲に対して、一定の契約金額で施工を行う方式です。
施工費の算出には、材料費や人件費などの積算に加え、RSMeansのような建設コストデータベースや、地域ごとの施工単価をベースとすることもあります。ただし、実際の金額は設計内容や現場条件、施工会社の見積もりによって決まります。
契約時に金額が明確になるため、予算管理がしやすく、事前に社内承認や決裁が必要な日系企業にも適した方式です。
実際に発生した工事費に、施工会社の管理報酬や手数料を加えて精算する方式です。
設計変更や不確定要素が多いプロジェクトにも柔軟に対応できる一方、工事費の増加に伴い最終金額が当初予算を上回る可能性があります。契約によっては、GMP(Guaranteed Maximum Price:保証最大価格)を設定し、一定の条件のもとで費用の上限を設ける場合もあります。
契約方式にかかわらず、施工費は単純に面積だけで決まるものではありません。特に影響が大きいのは、次の4つです。
新築なのか、既存のオフィスや店舗を改装するのかによって、工事費は大きく異なります。
例えば、新築の場合は、解体費用が掛からず、予測不能な設備的問題も少ない一方、空調や給排水などはすべて新規導入する必要がある場合が多いです。
一方、既存の内装や設備を活用できる物件であれば、解体費用や設備工事費を抑えられる可能性があります。ただし、古い建物では設備の更新が必要になったり、解体後に初めて設備の不具合が発覚したりすることもあります。
また、既存の空調設備や電気容量が新たな用途に対応できるか、給排水設備の位置や能力が十分かといった点も、施工費を左右する重要な要素です。
使用する材料や設備のグレード、造作家具の量、照明計画、特注品や輸入品の有無なども、工事費に大きく影響します。
例えば、床材をウッドフローリングにするかタイルにするか、天井をオープン天井、グリッド天井、ドライウォール天井のどれにするかによっても費用は異なります。
大掛かりな設備工事が必要な物件では、仕上げにかけられる予算が限られる場合もあります。デザインの完成度を追求することと、予算を管理することを両立するには、計画の早い段階で優先順位を整理しておくことが大切です。
店舗やオフィスでは、内装の見た目だけでなく、空調、電気、給排水、火災報知設備、スプリンクラーなどへの対応が必要になる場合があります。
また、プロジェクトの用途や工事内容によっては、建築基準やアクセシビリティに関する要件への対応、行政への申請、検査なども関係します。
特にレストランでは、厨房排気、ガス、消火設備、衛生面などの要件が厳しく、既存設備をそのまま利用できない場合には、多額の設備工事費が発生する可能性があります。
また、以前のテナントが長期間入居していた物件では、その後の法規改正や用途変更などにより、既存設備の更新が必要になることもあります。
こうしたリスクを把握するためにも、物件契約前に専門家へ相談することが重要です。(詳しくは「ニューヨーク進出で知っておきたい、物件契約前に設計施工会社へ相談すべき理由」をご覧ください。)
ニューヨークのような都市部では、建物の搬入条件、作業時間の制限、エレベーターの使用条件、ビル管理側のルールなどが施工計画に影響することがあります。
また、短い工期で完成させる必要がある場合、夜間・休日作業や作業員の配置調整などが必要となり、追加費用が発生する可能性もあります。
そのため、面積やデザインが似ているプロジェクトでも、現場条件によって施工費が異なることは珍しくありません。
日本とアメリカでは、見積もりの項目や契約の考え方が異なる場合があります。特に注意したいのは、見積もりの総額だけでは、同じ条件で比較しているとは限らないという点です。
例えば、ある会社の見積もりでは設備工事が含まれていても、別の会社では別途費用となっている場合があります。解体工事、廃材処分、各種申請への対応、現場管理などについても、含まれる範囲を確認する必要があります。
また、アメリカでは、見積もりに含まれない工事や条件を「Exclusions(除外項目)」として記載することがあります。除外項目を十分に確認しないまま契約すると、工事の途中で思わぬ追加費用が発生する原因になります。
複数の会社から見積もりを比較する際には、金額だけでなく、業務範囲、仕様、除外項目、追加工事の扱いなどを確認することが重要です。
弊社では通常、3社から見積もりを取得し、工事範囲や条件を比較したうえで、金額だけでなく各社の対応実績なども評価し、お客様へご提示しています。
プロジェクトの予算を考える際には、設計費と施工費だけでなく、関連する費用も把握しておく必要があります。
例えば、次のような費用が発生する場合があります。
各種専門家への報酬: 構造・設備エンジニア、コードコンサルタントなど
申請・審査関連費用: 許可申請や審査などに伴う費用
調査・検査費用: 既存設備や建物の状況を確認するための調査など
ビル管理側の費用: 施工図面の審査、工事管理などに関する費用
各種ベンダー費用:IT、セキュリティ、AV、家具、引っ越しなどのベンダー費用
予備費: 予期しない既存設備の不具合や工事内容の変更などに備えるための費用
すべてのプロジェクトでこれらが必要になるわけではなく、物件、工事内容、契約条件によって異なります。また、設計施工会社の見積もりに含まれる項目もあれば、後から実費精算となる項目、施主が別途契約・負担する項目もあります。
初期段階で費用の全体像を把握し、誰がどの費用を負担するのかを明確にすることが、予算超過を防ぐうえで重要です。
予算管理で大切なのは、限られた予算の中で何を優先するかを明確にすることです。
ブランドイメージを重視する店舗なのか、機能性を重視するオフィスなのかによって、費用をかけるべき部分は変わります。
また、物件契約後に想定外の設備工事や法規対応が必要になると、予算だけでなくスケジュールにも影響します。可能であれば契約前に、予定する用途や工事内容に対応できる物件かどうか、専門家に確認しておくことをおすすめします。
予算、デザイン、工期は、それぞれ独立したものではありません。 どこかを変更すれば、ほかの条件にも影響する可能性があります。計画の初期段階から設計者と施工者が連携することで、デザイン、コスト、スケジュールを総合的に検討しやすくなります。
アメリカの設計費・施工費は、面積や工事費だけで一律に決まるものではありません。設計業務の範囲、既存建物の状態、設備や仕上げの仕様、法規への対応、現場条件など、さまざまな要素が関係します。そのため、見積もりの金額だけを見るのではなく、何が含まれているのか、どのような条件で算出されているのかを理解することが大切です。
アメリカでの出店やオフィス開設を検討している場合は、物件が決まる前の段階から、予算、工事の実現性、必要な申請、スケジュールをあわせて検討することが、スムーズなプロジェクト進行につながります。
「この物件で希望する内装工事ができるのか」「予算内でどこまで実現できるのか」「開業までにどのくらいの期間が必要なのか」など、計画の初期段階で確認しておきたいことは少なくありません。
ニューヨークを中心にアメリカでの店舗・オフィスづくりをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。計画の条件を整理し、予算とスケジュールを踏まえたプロジェクトづくりをサポートします。
参照:
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